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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2017年8月15日火曜日

追憶 1773

親友の父親は、黒い獣から解放された。
それは、一時的な機会を得たことを意味している。
死後ではあるが、その状態で出来ることを懸命に行わなければならないのである。
生前の怠慢(たいまん)のつけを支払わなければならないのだ。
その機会を得たのである。

”一緒に帰ろう”

わたしの提案に対して、親友の父親は風呂場の磨りガラス越しにうなづいた。
そして、次の瞬間にはわたしの背後に立っていたのである。
振り向いて見ると、親友の父親は申し訳なさそうな、やけに情けない顔をしていた。
そこでわたしは笑ったが、親友がそれを不思議がったので、事の顛末(てんまつ)を聞かせてやった。

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