それが、自分自身としての個人的な人生の目的だったのである。
生活を成り立たせることが人生だと思っていたわたしの考えは浅はかであった。
生活が成り立てば幸せだと思っていたが、そんなことで満たされる程、人生は簡単なものではなかったのである。
もしも、生活が成り立つこと、例えば家族が健康であり、家庭が円満で日常が安定することが人生の幸福であると言うのならば、わたしは生まれた時点から幸福であり、そこで迷うことも苦悩することもなかったであろう。
祖父が始めた養殖漁業を父親から引き継ぎ、素敵な嫁をもらって、仲の良い家庭を築く…
それは素晴らしいことであるのかもしれないが、わたしにはその未来や人生が虚しく見えたのである。
世間一般に求められている「幸せ」によって、わたしという個人が幸福になれるとは到底思えないのである。
もちろん、そのような幸せを否定している訳ではない。
わたしの中にもそのような幸せを欲する気持ちは大きくあった。
でも、それだけではわたしという個人が満たされることがないと思うのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿