わたしにはその声の主が大天使ミカエルのものであることは分かっていた。
しかしながら、わたしはどうしてもドラム缶に浮かび上がる女の苦悶の顔を写真として残しておきたかったのである。
わたしは欲求に対して葛藤していた。
自分自身の欲求と、大天使ミカエルの意思のどちらを選ぶべきなのであろうか?
自我の強かったわたしは、写真を撮ることが諦められなかった。
わたしが意を決っしてシャッターを押そうとした時、
「…やめなさい」
それはより優しい声だった。
わたしは我に返り、携帯電話をポケットにしまった。
そして、自らの愚かさに恥じ入った。
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