きっとそれはお酒であろう。
子どもながらにそう思った。
小さなおちょこのようなもので互いに飲み交わしている。
二匹はとても楽しそうに見えた。
笑い声が聞こえてくるかのようである。
その不思議な光景を見ていると、彼女は自分が独りでいることを思い出して少し怖くなってきたのと、このことをお母さんに伝えなければならないという思いが浮かんできた。
彼女は後ろ髪を引かれる思いで自宅に走った。
しばらくして、母親を連れて来たが、そこには既に狐と狸の姿はなかった。
もちろん、社も跡形も無く消えていた。
彼女の中には更なる不思議が生まれた。
それは一度だけのことで、それからは見ていないということだった。
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