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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2013年5月24日金曜日

追憶 458

それは家と呼ぶには小さく、彼女の常識とは違った形をしていた。
それは小さな社であった。
しかしながら、ここに普段は社など建っていない。
彼女が生まれてから、一度もこんなものは見たことがなかった。
学校に行っている時間の内にそれが建ったとも考えられない。
何より、その痕跡がないのである。
そんなことは子どもでも容易に想像することができた。
彼女には怖いという気持ちはなく、新しい発見をしたことに高揚していた。
童心をくすぐる不思議さがそこにはあった。
その小さな胸にワクワクする気持ちを抱えながらその場で社の襖から漏れる明かりを眺めていると、ふとあることに気が付いた。
それは、襖の奥にある二つの影の存在であった。

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