思い返してみると、霊の話題に人を通して触れたのは中学校のKとの出会いからだった。
(「追憶」を長く書いてきたが、ここまで書くのを忘れていた…)
それまで、霊感や霊体験というものを実際のものとして話す人には会ったことがなかった。
わたしが幼い頃に周りの大人たちが「悪さをしたら山から鬼が来るぞ!」とわたしを脅していたのが、ある意味で霊?というものとの関わりであった。
そんなものである。
周りには霊体験をしたことのある人もいたとは思うが、それを誰かから聞くことはなかった。
そんなわたしだったからか、Kの話にはある種のカルチャーショックを受けたのである。
Kの話によると、お母さんが所謂「見える人」だったようで、霊感が強かったそうである。
母親が一人台所で夕飯の準備をしていたら玄関が開く音がして誰かが家の中に入ってきた。
母親は子どもの内の誰かが小学校から帰って来たと思い「ただいま、くらい言ったら…」と振り返ったところで絶句した。
そこには畳一条ほどもある大きな男の顔が、台所の入口から左反面を覗かせて浮いていたのである。
声も出せないまま硬直していると、巨大な顔は覗かせている左反面を少しずつ引っ込めながら、奥の部屋に姿を消した。
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