巨大な白い龍はやがてわたしの頭上へと辿り着いた。
何かを確かめるかのように家の上空を何度も旋回している。
その光景に圧倒されたわたしは、それを眺めていることしかできなかったが、この期に及んで慌てるのも分が悪いと思い気持ちを落ち着かせるように努めた。
そんなわたしの心情を察していたかのように、巨大な白い龍は上空から柔らかく舞い降りた。
屋根を突き抜け、天井を貫通し、巨大な白い龍の鼻先はわたしの目の前にあった。
わたしは蛇に睨まれた蛙のように身動き一つ取れなかった。
龍に睨まれた人間である。
わたしは呼吸するのにも気を遣った。
恐怖ではなく、畏敬(いけい)の気持ちがわたしの心を支配していた。
わたしはしばらくの間、巨大な白い龍と視線を交わすのであった。
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