わたしはどういう訳か、無条件にこの白い龍のことを信用していた。
この龍なら、わたしの求めるものを提供してくれるとでも思ったのであろうか?
今だに謎ではあるが、自分自身でもなぜ初見の白い龍を信用したのかは分からない。
強いて言うなら直感的な心の働きである。
「相(あい)分かった」
わたしの答えを聞くと白い龍はそう応えた。
それはとても力強い声(意思)だった。
すると、先程まで絵画のように微動だにしなかった龍が、まるでキャンパスからその身を剥がすようにして動き始めた。
当初はぎこちなかった動きも徐々に滑らかになり、わたしの目の前で渦を描くように躍動してみせた。
わたしがその光景に釘付けになっていると白い龍は視界から弾け飛び、頭上高くに舞った。
暗闇に煌(きら)めく白い光は、まるで北欧の夜空を支配するオーロラのように美しかった。(オーロラを実際には見たことがないのが残念である…)
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