沖で仕事をしていると、何か別の意思を感じることがあると言ったが、白い龍が腹の中に収まってからというもの、その意思を感じる頻度も上がったように思える。
その意思はとても大きなものであるような気はするものの、大き過ぎるせいなのか漠然としていて掴みどころがない。
強いて言うなら、北灘湾の意思を感じているような感覚なのである。
それは毎日わたしに意思を投げかけてきた。
そして、それは日増しに強くなっていった。
そんなある日、わたしが沖で仕事をしていると、ふと南の空が気になった。
それはあの意思を南の空に感じたからである。
何の気なしに見上げた空には、異様な光景が広がっていた。
そこには真っ白で山よりも大きな龍が優然と泳いでいたのである。
わたしは驚き、自らの目を疑った。
しかしながら、それは一瞬の出来事であり、次の瞬間には跡形も無く消えていたのである。
わたしは陽の光や雲を巨大な白い龍と見間違えたのだろうと自らを納得させた。
しかしながら、心臓はその鼓動を高めている。
見間違いなのであろうか?
しかしながら、確認する手立てはなかった。
わたしは不思議なこともあるものだと思い、何だか嬉しい気持ちの中で仕事を続けた。
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