どこからともなく届く意思に心を合わせるようにして辿っていくと、わたしは天井を突き抜け、屋根裏を通り越し、空を見た。
そこには夜空が広がっていた。
しかしながら、それは月も無ければ星も存在していない夜空であった。
夜空というよりは黒い空である。
ただし、そこに変な感じはなかった。
見慣れた夜空に輝きがないだけである。
雨などで雲が覆っている夜空のような感じだ。
視点はわたしから始まり、夜空を見上げている構図である。
すると、南の空から何かがこちらに向って来るような感覚があり、それは遠くの方からわたしの所を目指しているようであった。
なぜだかは分からないが、直感的にそう思うのである。
わたしは胸の高鳴りを抑えながら、南の空に目を凝らした。
すると、わたしの頬を風が撫でた。
「風?」
わたしは心の中でそう呟いた。
0 件のコメント:
コメントを投稿