次の日に心へ向かった時には、やはり身体は倒れて叫び声を上げた。
しかし、その中で昨日とは違う出来事があった。
それは黒い視界に黒い犬が浮き出て来たということだった。
しかしながら、そこにいる黒い犬はいつもとは明らかに様子が違っていた。
もう、わたしのことを威嚇(いかく)してはいないのである。
その表情はとても柔らかく、安心に満ちて落ち着いているのであった。
わたしは意表を突かれてしまった。
黒い犬の柔らかな表情に触れると、わたしの力みが解けていくのを感じた。
黒い犬がわたしを威嚇をし、わたしに敵意を向けていた時には意識的にはもちろん、無意識的にも緊張し力んでいたということに気が付いた。
それもあって、わたしは激しい疲労を感じていたのだろう。
わたしは穏やかさに包まれる世界を見た。
黒い犬がいる世界は相変わらず暗い場所ではあったが、そこには見えない希望の光が十分に存在していたように思えた。
暗いけれど、とても明るいのである。
わたしはこの状況を心から喜んだ。
それはこれがわたしの望む状況だったからである。
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