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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年6月5日火曜日

追憶 105

わたしは目前の黒い犬と自分自身を哀れに思った。
自分を可哀想だと思ったのはこれが初めてかもしれない。
幼い頃に感じた痛み、そしてそこから生じた悲しみ。
そして、それを代弁する黒い犬。
わたしはどうにかしてそれらを満たさなければならないのであろう。
それがわたしにとってはとても重要な要素であるということは否めない。
それらを解決しない限りは先へ進むことはできないように感じていた。
心に負った痛みや悲しみが癒えることはあるのであろうか?
そこに刻まれた記憶や傷が消えることはあるのか?
怪我をすれば傷が生じ、そこには痛みが走る。
やがて痛みは引くが傷は傷跡として残る。
心もそれと同じようなものではないだろうか?
本人が忘れているということはあるだろうが、傷自体が消えるということは無いように思えた。
そう考えると、わたしがやらなければならないのは傷を消すというよりは、傷を受け入れるということであるだろう。

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