気が付くと、眠りから覚めた時のような気怠さと思考が滲(にじ)むのを感じていた。
わたしはとても疲れていた。
重たい身体がわたしに黒い犬のことを思い出させる。
ベッドのすぐ脇にあるカーテンを勢い良く開け放つと、磨りガラス越しに眩い白い光が眼球を直撃した。
わたしはそれに驚いて顔を背けたが、カーテンはそのままにしていた。
それは頭を目覚めさせたかったからである。
瞼(まぶた)に映る白を見ていると、次第に思考が整ってくるのが分かった。
思考が少しだけでも整うと、そっと瞼を開いてわたしは外界に触れるのであった。
天井を見上げて一つ息を吐き、わたしは再び瞼を閉じた。
黒のスクリーンには先程の黒い犬との攻防?が再び映し出されていた。
黒い犬の行動?
なぜあの時、黒い犬はフェードアウトしていったのか?
わたしにはそのことが理解できなかった。
回らない頭で考えたところで答えは出ないだろう。
それでもわたしはそのことを考えずにはいられなかった。
黒い犬が残した意味を考えながら重たい身体を引き摺って、水を飲むためにわたしは部屋を出た。
0 件のコメント:
コメントを投稿