その時、肉体が自らの意思に反して動き出したことに気が付いた。
身体は苦しそうにその場で寝返りを繰り返している。
そして、口を大きく開けて小さな唸り声を上げ始めた。
小さくも低い唸り声が、わたしを包む小さな部屋の中に響き渡った。
それはまるで苦しみから逃れようとしているかのようであった。
この時、わたしはこのような状況において、自らの意思が必要ではないことを学んだ。
何と言うか、自らの意思によって動かすのではなく「任せる」のだと理解したのだった。
それはこの状況・・・
今回ならば黒い犬にである。
苦しみを訴える者に対して、自らの身体を貸すというような感覚が正しいのかもしれない。
わたしと言えば、それを少し離れた所から客観的に見守っているようであった。
どうしてこのようなことができるのかは正直分からない。
しかしながら、自分に特別な力があるとも考えづらい。
特殊な力とかそういう類いではなく、何かもっと原始的な力であるような気がしていた。
わたしは状況に驚きを感じながらも、流れに任せてそれを見守っていた。
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