このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年6月9日土曜日

追憶 109

責任を果たすためには、黒い犬(幼少の心)にできる限りの愛情を注ぎ込み、それを理解してもらう必要があった。
わたしは精一杯の不器用な愛情によって黒い犬を抱きしめ続けた。
すると、暗闇の空間を満たす空気に若干の変化が生じたことに気が付いた。
それは「動揺」であるような気がする。
暗闇には「動揺」が広がるつつあった。
明らかに先程とは感じ方が違う。
心に突き刺さるプレッシャーが明らかに少なくなり、それがてんでバラバラに飛び交っている。
怒りや悲しみといった感情が既にその体裁を保てなくなっていたのである。
わたしはその変化がとても嬉しかった。
黒い犬の感情が変化したということは、わたしの愛情が少なからず届いているということの証明になるだろう。
そこには小さくても活路が存在しているはずなのである。
長く苦しい暗闇のトンネルから、彼らのことを助けられると思うと、わたしはそこに希望と期待を持つことができた。

0 件のコメント:

コメントを投稿