幼い頃と同じように黒い犬による肉体の支配が始まったのであろうか?
しかしながら、今回は様子が少し違うようにも思えた。
何と言うか、心地好いのである。
今までは、支配されている時間を覚えていないか、どちらかと言うと不快な気持ちがあった。
愚行を行うに際して心地好いということもないだろう。
わたしにとって、あの時間は苦痛でしかなかったのである。
しかしながら、今回はそれとは全く反対の心境である。
そこに心地好さを感じるなど初めてのことだった。
わたしは初めての感覚に多少困惑したが、心地好いということは単純に良いことだと解釈し、そのことについてそれ以上言及することはなかった。
わたしは、とにかくこの状態から抜け出す必要があると考えた。
自分の身体を取り戻さなければならないと思ったのである。
自分の意思と身体とが離れているということは、とても不安である。
指示を出しても動いてくれない身体ほど恐ろしいものはないであろう。
わたしはどうすればこの身体が意思に従って動いてくれるのかを考え始めていた。
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