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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年4月19日木曜日

追憶 58

「思いやり」によって後押しされる心は、恐怖心を完全に押さえ込んでいた。

背中に覆い被さる黒いものに対して、わたしは恐怖を感じることが明らかに少なくなっていたのだった。
今なら黒いものに対して恐怖ではなく、冷静さと純粋な「思いやり」を以て向き合うことができると確信した。
わたしは穏やかな心を以て背中に覆い被さる黒いものに意識を合わせようと試みた。
すると、徐々にではあるが、背中に覆い被さる黒いものの姿が見えてきたような気がしたのだった。
それは人間だった。
しかしながら、一人ではない。
正確には人間としての身体の部位が幾つも混在しているのである。
腕やら脚やら頭やら・・・
とにかく、人間の部品が一つの形に乱暴に詰め込まれているのであった。
それは吐きそうなくらいの気持ち悪さを抱えていて、お世辞にも心地のいいものではなかった。
しかし、今やわたしはそれをも上回る思いやりを所有しているのである。
人間の部品が集まったものに対する恐怖心や嫌悪感はなくなり、好奇心にも似た気持ちが生まれてきているのであった。

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