このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2012年4月4日水曜日

追憶 43

わたしはこの状況を何とかしたいと考えていた。
どうすればこの金縛りから解放されるのかを思考した。
しかしながら、何のアイデアも浮かばなければ、答えなど見付かるはずもなかった。
しかし、わたしの心の中にはいつの間にかに思考を巡らす余裕が存在していることに気が付いた。
そのほんの少しの余裕が、彼らに対するわたしの変化を生み出していた。
それは、彼らに対する思いやりの気持ちであった。
先程まではただこの状況から逃げ出したい気持ちや恐怖心のみが心を支配していたが、今は自分のことに加えて彼らのことを気にすることもできていた。
この心境の変化には驚いた。
どこにこの心境の変化を生み出す要因があったのだろう?
わたしはそう考えようとしたが、直感がそれを阻止した。
思考よりも先に直感がわたしにその要因を伝えたのである。
それは、彼らの怒声や悲鳴などの苦しみの感情が、泣き声という悲しみの感情に変化したことによって生み出された心境の変化だった。
心境というよりも、状況的な変化と言っても良いかも知れない。
彼らには明らかに「隙」が出来ていた。
わたしは彼らを助けることよりも比重の大きかった逃避を選択した。
前回の金縛りの時と同じ要領で、右手に意識を集中させる。
この時のわたしは、力には力で対抗するしかないと思っていたのである。

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