わたしが精神的にも肉体的にも限界を感じたその時、金縛りの力がほんの少しだけ弱まった気がした。
そして、耳になだれ込んで来ていた怒声や悲鳴は泣き声に変わった。
とにかく悲しかった。
わたしはこの深い悲しみを一人で支え切ることは出来ないと感じた。
それはわたしが今までに体験したことのない程の深い悲しみである。
胸が引き裂かれそうだった。
肉体から心をえぐり出され、そのままそれを深い海に投げ捨てられるかのような悲しみを感じる。
とにかく、わたしは彼らのことを哀れに思った。
この深い悲しみの感情が彼らのものであることを理解しているからだ。
しかしながら、わたしにはそれをどうすることも出来なかった。
彼らに手を差し伸べることも出来なければ、
彼らの抱える苦しみの感情を解放し、悲しみを支えてやることも出来ない。
わたしは無力であった。
これ程までに無力なことが今までにあったであろうか?
手も足も出ないとは、正にこのことである。
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