自らの内側に静寂を探す作業は、わたしの感覚を異様なまでに研ぎ澄まさせていた。
頭の中に飛び交う思考は窒息し、五感はその色を失った。
わたしの世界は崩壊する。
そこには無重力が存在していた。
わたしはただ真っ白な空間を漂っていたように思う。
記憶ではない。
これは感覚である。
頭では覚えてはいない。
覚えられない・・・
五感を超えた感覚に刻み付いた経験をつらねているのである。
とにかく心地よかった。
あれだけ痛かった腰が少しの悲鳴も上げないのである。
わたしの中に記憶としては残っていないが、それはまるで母の胎内にいるような安心感と心地よさなのである。
思考や五感が働かないというのはこれ程までに静かで穏やかなものなのであろうか。
わたしは一時の静寂にすべてを委ねた。
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