わたしはしばらくの間、鐘の音を観察してみることにした。
すると、わたしの感覚は決して間違ってはいなかったことを確信することができた。
やはり、鐘の音は少しずつではあるけれど、確実に大きくなっているようである。
それは鐘の音がわたしに近付いて来ていることを意味するものではないのか?
そう思った時点から、わたしの好奇心は緊張感へと形を変えるのであった。
乾いた鐘の音が一定のリズムを刻みながら確実にわたしに近付いて来ている。
鼓動が早くなるのを感じた。
不思議なことに目を開こうとしても、それは何かの力によって否定される。
そして、わたしは否応なしに鐘の音に集中させられるのであった。
先程よりも鐘の音は大きくなった。
感覚的には5m程後方から聞こえているような感じである。
緊張の糸が音を立てて張り詰めるのを感じた。
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