わたしは無音の中で、離れた子どもと向き合っていた。
”帰った方が良い”
子どもの声だった。
それは穏やかな声色であったが、強い意志を感じさせる。
子どもはわたしをこれ以上先には進ませたくないようであった。
わたしが子どもの声に思考する時には、排気音が耳を揺らしていた。
わたしの自我意識は先へ進みたいと切望していた。
先に何があるのかを見たいのである。
自我意識は状況に対して反発する性質を持っている。
子どもに否定されたことに対して反発しているのである。
わたしは必ずしも先へ進む必要はないのだが、自我意識が反発しているために先へ進みたいという欲求に執着してしまう。
自我意識は、子どもに対して”自分の邪魔をするな”と言っているのである。
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