その時、脳裏には再び不敵に笑う女の赤い口が浮かんだ。
重たい身体を気合いで持ち上げ、その場に胡座(あぐら)をかいた。
瞼(まぶた)を閉じると、そこには部屋よりも深い暗がりがあったが、それは歪みながら揺れていた。
引いては返す波のように襲う吐き気に堪えながら、わたしは意識を整える。
純粋な気持ちであれば、わたしは静寂の中に入り込めた。
恐れがあってはならない。
わたしは純粋に女の(幸福の)ために働くのである。
この心地悪い状況から、女を救い出すのだ。
そのような気持ちで向かうのである。
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