老人を見ていると、事故の被害者である男性のことが頭に浮かんできた。
わたしには老人と彼が何かしらの関係性を所有していると感じた。
すると、女の前に彼の姿が浮かび上がった。
彼は全体的に暗い影のような姿であり、背中を丸めて座り込んでいる。
弱々しく項垂(うなだ)れる彼に対して、女は恨みの感情をぶつけているようだ。
その光景を老人が見つめているのである。
わたしは悲しい気持ちになった。
ここはなんて虚しい世界なのだろうと思ったのだ。
恨みの感情が充満し、それに浸る人たち。
わたしにはこれがとても低次の世界の出来事であると見えていたのである。
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