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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2015年4月23日木曜日

追憶 955


「憎ら…しい…憎…らしい…」

届いた言葉に対して、わたしは重たい顔を上げた。
そこには男が立っていたが、今はその表情を確認することができる。
男は涙のような黒い血によって頬(ほほ)を濡らしていた。
しかし、その眼球は無かった。
目は抉(えぐ)り出されたかのようであり、そこは黒い空間になっている。
わたしは男の痛々しい姿に同情した。
わたしは眼球を抉り出した経験は無いが、その痛みと苦しみは容易に想像する
ことができる。
きっと、想像以上の苦悩であるだろうが、精一杯の想像によって同情するのである。

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