このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2015年4月21日火曜日

追憶 953

そう思い、わたしは男に近付こうと踏み出した。
すると、背筋が寒くなるのを感じ、次の瞬間には全身を鳥肌が覆っていた。
どういう原理なのかは分からないが、頭のてっぺんまで泡立つのは霊的な時に限られていた。
わたしはそれ以上に歩を進めるのを躊躇(ためら)った。
それは、男の放つ恨みの感情が刀のように感じられ、それがわたしの喉元(のどもと)に突き立てられているような感覚を得たからである。
これ以上の接近を男は許してはいなかった。
わたしは考えた。
自分の目的は何だったのか?
それは、Nを守ることである。
そのためには、A子の問題を解決する必要がある。
そのためには、この男を恨みの感情から解放する必要があるのだ。
わたしは恐れに負けず、一歩を踏み出した。

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