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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2013年1月30日水曜日

追憶 344

目の前の看板には、キャンプ場の案内が絵によって分かりやすく描かれている。
風雨に晒されているために色あせているのが物悲しさを誘うようで良い雰囲気を醸し出す。
わたしは車のエンジンを止めた。
ヘッドライトが消えると、辺りには少しの光も存在していなかった。
エンジン音の無くなった車内が外の静けさを取り込む。
静寂に包まれると、わたしの鼓膜は耳鳴りにも似た甲高い音を拾う。
暗闇に目が慣れるのを待つが、それは無駄な時間だったようである。
網膜がいくらピントを合わせても、取り込む光が無いのだから何も見えない。
そのくらい、深い暗闇の中にわたしはいるのである。
わたしは手探りでルームランプを点けた。
車内は電球の優しいオレンジの明かりで包まれた。

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