店を出ると、夏の日差しに焼かれたアスファルトと土の匂いと共に、それを冷ます心地好い夜風が頬に触れた。
外は別世界であった。
景色は夜の黒が支配し、すべての輪郭を溶かしていた。
石も、木も、草も、建物も、空も、その境界を黒が塗り潰していくようであった。
その夜の黒を申し訳なさそうに退かす街頭の光が自らの足元だけを小さく照らしている。
わたしはその光景にため息を吐いたが、そのため息も夜の帳がすぐに覆い隠すようであった。
時間が遅くなってしまったことを少しだけ反省すると、わたしはすぐさま夜の闇の深さに興奮を覚えた。
今頃、皆は焚き火を囲んでコーヒーや酒なんかを飲みながらいろいろと語り合っているに違いない。
そう思うと素敵である。
わたしは一刻も早くその語らいに参加したくなって、ハイラックスサーフのイグニッションを回すのであった。
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