わたしには、彼がネガティブな感情を抱えているのが分かっていたが、身体が何の反応も示さないため、急を要する状況ではないのだろうと考えた。
放っておいても何の問題もないと理解して、老女が懸命に差し出してくれたお茶を受け取った。
老女の話は、いつも同じ内容である。
一通りの昔話と苦労話だ。
わたしは、老女の生まれから現在までの"大冒険"をこれまでに少なくとも3回は聞いているだろう。
わたしは老女の話の中に、彼女の現状を見ている。
彼女の話事態は聞いてはいない。
話の内容は頭に入ってくるが、物語を聞いている訳ではなく、価値観を捉えようとしているのである。
わたしは話の"奥"を見て、彼女の抱える問題点を見極め、それに対する修正案を提示するのであった。
残念ながら、1度の話し合いで変われる程、人間は柔軟ではない。
反発、否定、疑念、譲歩、受容という過程を経なければ、人間が変わることはないのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿