わたしは友を探して山を駆け上がった。
そこには変わらない小さな社と狐の人形があった。
狐の人形の片方が倒れているのは気のせいだろうか?
パンが無くなっているのは、きっと動物か鳥が食べたのであろう。
見た目には穏やかな風景である。
しかし、頭上で枝葉を揺らす風のように、見えない何かがこの場を乱しているのを感じる。
目には映らない別の次元で何かが起こっているのであろう。
そこで起こっている問題を感じ取っているのではないだろうか?
山を駆け上がったせいなのか、鼓動を大きく感じる。
周囲に殆(ほと)んど音が存在しないために、わたしはいつもよりも内向しているのだと思う。
鼓動を五月蝿(うるさ)く感じる。
わたしは鼓動を煩(わずら)わしく思った。
鼓動が届かない場所を知っている。
そこは、内に存在する静寂である。
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