山道の奥には、4、5軒の民家が点在してあるだけであった。
	
	しかし、一軒を除いては人の生活を感じることは出来なかった。
	蔵付きの廃墟(はいきょ)もあった。
	昔は豊かな暮らしがあったのではないだろうか?
	しかし、現代においては不便な土地である。
	時代の移り変わりと共に過疎化が進み、衰退していくのは当然のことだろう。
	しかし、それで良いと思う。
	現代の人の生活と山は切り離されていて良いと思うのだ。
	昔の人達は、山に対して畏敬(いけい)の念を以て向き合っていたのではないだろうか?
	山は特別な領域であり、人が軽々しく足を踏み入れることのできる場所ではなかったと推測する。
	民話や伝承に山の神様や化け物の話が多いのは、そのような体験をした人もいただろうし、山を畏怖(いふ)する気持ちが強かったからであろう。
	それは、自然環境との共存を実現するためには必要なことである。
	山の環境や動植物の生態系を守る(邪魔しない)ことによって山村の生活が成り立っていたのであろう。
	
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