わたしの質問に満足に答えることが出来ずに意気消沈した彼女達は、パンフレットを置いて去った。
それは、彼女達が布教活動によってわたしを訪ねたことを意味するものであった。
彼女達は、わたしを自分達の信じる宗教に勧誘したかったのである。
しかしながら、それは、実現しなかった。
彼女達の信じているのは、一神教の宗教であった。
彼女達の置いていったパンフレットを眺めて、わたしは彼女達が悪を作りたがる理由を納得した。
一神教の宗教体系を成り立たせるためには、唯一の神を奉(たてまつ)る必要がある。
唯一の神を奉るためには、どうしても悪となる敵が必要不可欠なのである。
悪や敵が存在しない世界には、信じる者を救ってくれる唯一の神など必要のない存在となってしまうからだ。
それでは、一神教として都合が悪いのである。
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