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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2017年5月25日木曜日

追憶 1691

鈴の音と子ども達の笑い声が近付くに連れて、地面に束縛(そくばく)する力が強くなった。
荒い呼吸が、腹の中の獣の興奮を伝えている。
その時、わたしは渓流の奥を見せられた。
そこには、わたしの常識を超越したものがあった。
それは、真っ白な象であった。
他に形容する言葉が見付からない。
百合の花のように全身が透き通るほどに真っ白な象が、渓流の谷間にいるのである。
きっと、陽は落ちているだろう。
今は夕陽の余韻(よいん)で明るいのだろうが、渓流の奥は既に暗闇が迫っている。
そこでは、山の景色に相応しいとは思えない真っ白な象が異彩を放っているのであった。

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