腹の深いところから、どうしようもなく怒りの感情が込み上げてくる。
わたしの腹の中の獣が、森の奥に潜む何かに対して、強烈な敵対心を抱いているのである。
わたしはそれを傍観(ぼうかん)しているに過ぎなかった。
わたしは腹の中の獣の感情に呼応していた。
森の奥に潜む何かに対して、その存在を拒絶したいのである。
わたしには選択肢はなかった。
渓流の緩やかな流れにも逆らうことのできない無力な落ち葉であった。
その時、わたしは自分が威嚇(いかく)する犬のように、歯を剥(む)き出しにして森の奥を睨(にら)み付けていることに気が付いた。
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