目の前には、沈黙して動かなくなった蛙のような何かがあった。
最早(もはや)、そこに破滅的なエネルギーを感じることはなかった。
彼等は枯れ木のように魂を失った存在として、空虚を生きているようである。
人差し指と中指で前方の空間に円を描くと、金色に輝く輪が現れた。
これは、次元を繋ぐ扉のような役割をしている。
これによって、わたしの肉体が霊的な存在に触れることが出来るようになるのであった。
金色の輪に右腕を差し込むと、蛙のような何かを掴んで引き抜いた。
蛙のような何かからは、何の感情も匂いもしなかった。
それは、ただの屍(しかばね)であったのだ。
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