それは唐突にわたしの心に突き刺さった。
	
	
	それは、Nの”距離を置きたい”という言葉である。
	一度離れて、体制を立て直そうという提案であった。
		
		
		
	わたしには、Nの気持ちが手に取るように分かる。
	
	
	わたしがNに対してしなければならない返答も分かっている。
	それは、Nの提案を受け入れて距離を置き、灰がやがて土となり、再び燃ゆる炎の媒体となる樹木を育てるのを待つというものであろう。
	しかしながら、これは人情の範囲での判断であることをわたしは知っていた。
	わたしがしなければならないことは、大切なものを手放すことなのだろう。
	中途半端なことをすれば、自分自身にもNにも中途半端な結果が導かれるに違いない。
	わたしたちの魂は、そんなものは要求してはいないように感じる。
	中途半端な段階から、中途半端に始めることなど求めてはいないのである。
	
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