重たい朝が来た。
時間は何の配慮もなくわたしを訪ねる。
わたしは帰らなければならない。
一睡も出来なかった身体は、やはり鉛のように重かった。
しかしながら、この重みが睡眠不足によるものだとする確信は無かった。
わたし達は互いを気遣っていただろうが、言葉はほとんど無かった。
愛することに疲れたのだろう。
灰が燃えることは無い。
わたしは、Nに対する罪悪感から、出来るだけ早くここを離れたかった。
それは、今のわたしはNにとって迷惑だと感じたからである。
わたしは早々に荷物をまとめ、帰ることにした。
「ごめん…」
「うん」
「ありがとう」
「うん」
「じゃあ」
「気を付けてね…」
「うん」
Nの表情には憐れみがあった。
わたしは、重たい扉を開けた。
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