このブログについて

自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2016年8月28日日曜日

追憶 1448

重たい朝が来た。
時間は何の配慮もなくわたしを訪ねる。
わたしは帰らなければならない。
一睡も出来なかった身体は、やはり鉛のように重かった。
しかしながら、この重みが睡眠不足によるものだとする確信は無かった。
わたし達は互いを気遣っていただろうが、言葉はほとんど無かった。
愛することに疲れたのだろう。
灰が燃えることは無い。
わたしは、Nに対する罪悪感から、出来るだけ早くここを離れたかった。
それは、今のわたしはNにとって迷惑だと感じたからである。
わたしは早々に荷物をまとめ、帰ることにした。

「ごめん…」

「うん」

「ありがとう」

「うん」

「じゃあ」

「気を付けてね…」

「うん」

Nの表情には憐れみがあった。
わたしは、重たい扉を開けた。

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