外には、何ら変わらない日常があった。
	少し肌寒く感じる朝の空気が頬に当たる。
	遠くに車の走る音が聞こえる。
		
	雀(すずめ)が朝の挨拶を交わしている。
		そのどれもがいつもの風景であった。
	しかしながら、わたしの心だけがそれに取り残されているような気がした。
	重たい空気をNの部屋に残して、わたしは振り返らずに帰路についた。
	次の日、Nからの着信がわたしの鼓動を早めた。
	この緊張感は”人の思い”だ。
	所謂(いわゆる)、生き霊というやつである。
	Nがわたしに対して何かしらの強い感情を送っているのだろう。
	わたしは深く息を吐いて、携帯電話を耳に当てた。
	
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