全身を冷気が通り抜けた。
わたしの心は恐怖を覚えているようであるが、理性によってそれを制する。
しかし、わたしは余りにも強力なプレッシャーに動けずにいた。
その時、悪魔がわたしに気付いた。
顔を上げてわたしに向けられた目には、眼球が無かった。
正確には、瞼すらも無かったのである。
目があった場所には漆黒の洞穴が存在しているが、その奥からは憎しみの風音が響いていた。
悪魔が大きく口を開いて叫ぶと、そこからは黒い水が大量に吐き出された。
それが水位を押し上げているようである。
悪魔はわたしを殺そうとして暴れたが、鎖に阻まれて引き戻された。
その度に口からは黒い水が吐き出され、身体と足元を染めた。
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