とにかく悲しかった。
わたしは絶望を抱えて、一歩も歩めなかった。
鉛(なまり)のような身体は、その重みで自らを黒い水に沈める。
鼻と口から大量の水が流れ込み、わたしは意識を失った。
気が付いた時には、わたしはどこか別の空間にいた。
辺りは微かな光も許さない漆黒の闇で覆われている。
わたしは咄嗟(とっさ)に水を吐き出そうとしたが、何も飲み込んではいなかった。
幻覚だったのかと無理矢理に状況を納得させた。
不意に寒気を感じ、全身が総毛立った。
わたしは本能が警戒するのに気が付いて、根拠も無いままにとにかく身構えた。
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