様々な情景がわたしを追い越した。
それ等はとても悲しく、辛いものであった。
これは、Tさんの記憶であるだろう。
それはいつもどこか影を背負っており、わたしはそこに懐かしさと苦しみという共感を得た。
幼少のわたしは、Tさんと良く似ていると感じた。
心の中にはいつも孤独と苦しみが存在し、それが多くの場面で語りかけてくるのである。
その言葉に導かれて、自己を喪失(そうしつ)する。
自己を喪失すると、自分の意思ではない意思によって行われる行為に、酷(ひど)い罪悪感を覚える。
自分自身の意思による行為ではないが、大人からはその責任を追及される。
そうして、心を歪め、閉ざしていく。
わたしは、この一連の流れが形を変えて、Tさんの心の中に存在しているということを、悪魔を通じて理解することができた。
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