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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2015年1月20日火曜日

追憶 864

血の涙がわたしの足元にまで達する頃、先程聞いた阿鼻叫喚(あびきょうかん)が鼓膜を揺さぶった。
目の前の物体がそれを発していたのだ。
泣きながら叫んでいるのである。
わたしは深い悲しみを理解した。
目の前の物体は不気味な姿をしているが、その本質である原因や理由は悲しみの感情であるだろう。
そこまで理解すると、わたしは人差し指と中指が空(くう)に十字を描くのを見た。
光の十字架は闇を押し退け、涙の血溜まりをも消し去った。
わたしは目を細めて光の十字架を掴んだ。
これを目の前の物体に投じれば良いのだろう。
慈悲の心が目の前の物体への道を示した。
わたしは愛情という名の引き金を引いた。

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