光の十字架に射抜かれた黒い煙のようなものからは、阿鼻叫喚(あびきょうかん)が届いた。
	地獄というものが存在するのであれば、まさにこれがそうなのではないかと思えた。
	わたしは気分が悪くなるのを感じて、その場に膝(ひざ)を崩しそうになるのを必死で耐えた。
	途切れそうになる意識を、気合いで繋ぎとめているのである。
	光の十字架に射抜かれた黒い煙のようなものは、動くことができずにいた。
	わたしは必死で手を伸ばし、それを掴んだ。
	その瞬間に、わたしの中に様々な悲しみが流れ込んだ。
	わたしは世界の果てに独りで立って、何も無い虚空を眺めている気分になった。
	
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