目の前には、光の絹で仕立てられたであろうドレスをまとった白人(アルビノのよう)が立っていた。
美しい銀髪は陽の光を映す川の流れのように優美である。
男とも女ともとれる美形の顔には、微笑が讃(たた)えられていた。
わたしはその美しさに釘付けとなり、思考すらもままならなかった。
すると、麗人(れいじん)がわたしにお辞儀をして見せた。
わたしは未だに動くことができずにそれを眺めてる。
雪のような唇が言葉を描く。
「先ずはお礼を申し上げましょう。わたしはガブリエル…」
新緑から届く小鳥の囀(さえず)りのように、その声はわたしの心の中にどこまでも深く届いた。
わたしは心を構える隙もなく、その旋律に酔い痴れた。
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