諦めそうになる気持ちを振りほどきながら進むと、一層暗い空間が目の前に現れた。
それは宇宙空間に浮かぶブラックホールの様に、光を拒絶して存在している。
これが簡単でないことは、触れるまでもなく分かりきったことであった。
今にも、この深い闇の中から魔物が飛び出して来て、わたしの喉(のど)を掻っ切るのではないかという想像が巡るのである。
足が止まるのは、わたしの心が止まるからだ。
わたしは恐れていたのである。
この先の未知に対して恐怖の感情が勝っていた。
躊躇(ちゅうちょ)しているのは、覚悟が足りないからである。
わたしは自らの覚悟を試されている。
この暗闇の中に入る資格があるのかを審査されているのである。
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