わたしは悪魔に近付き、その太ももに触れた。
悪魔は完全に沈黙しているようである。
わたしが触れた場所から体毛が白く変色を始め、やがては全身を染めた。
それは、炭が燃え尽きて灰になるようだと思った。
わたしは悪魔の顔を見上げ、そこに光の十字架を投じた。
光の十字架は真っ直ぐに悪魔の額に埋まった。
すると、白い悪魔の全身が内側からの眩(まばゆ)い光によって覆われた。
その光はわたしたちのいる空間すべてに到達し、すべてを光で埋め尽くした。
視界を奪われたわたしは、何もできずにその場に立ち尽くすのである。
それは、目の前に雷が落ちる程の衝撃であった。
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