前方へと突き出された右腕は、人差し指と中指を伸ばした状態で静止し、一呼吸置いてから真下に振り下ろされた。
中空に引かれた一筋の線は音もなく輝き始め、やがて金色の光を放つ杭になった。
これは、天使の力である。
光の杭を掴むと、力が溢れてくる気がした。
それは、優しさであり、勇気でもあった。
光の杭を人の形をしたものに突き刺すことが、今わたしがしなければならないことである。
わたしは人の形をしたものに対して意識を集中し、身体が光の杭を投じる姿勢を見せた時に手を離した。
光の杭は静かに、そして素早く、美しい直線を暗闇に残して人の形をしたものに突き刺さった。
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