わたしは、瞼(まぶた)の向こう側に淡く光が滲んでいるのを見た。
わたしはいつの間にかにいつもの「わたし」に戻っていた。
淡い光に導かれるようにして、わたしは瞼を上げた。
室内の蛍光灯の明かりがわたしの網膜には刺激的であった。
わたしは一度上げた瞼をすぐさま下ろして、身体の準備が整うのを待った。
しばらくしてゆっくりと瞼を上げると、そこには懐かしい背中と部屋の様子が広がっていた。
そこにはわたしが目を閉じる前と何ら変わらない光景があったが、それがどこか違って感じられた。
どこがどう違うのかと、具体的なことは説明することはできないが、感覚としては少し明るくなったような気がするのである。
気のせいかもしれないが、そう思うのであった。
悩みが解決した時のあの清々しさと言えば分かるかもしれない。
心を塞ぐ厚い雲が取り除かれ、からっと晴れた高い空を眺めるような、そのような心地好さなのである。
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