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自身の体験をつづりたいと思います。
拙い文章ではありますが、お暇ならお付き合いください。

2013年9月17日火曜日

追憶 374

疲れた精神には意識の集中はこたえたが、このような状況で泣き言は価値を持たないだろう。
わたしは投げ出したくなる気持ちを抑えて、力を振り絞った。
湿ったタオルを力一杯に絞ると少しだけ水滴が落ちるように、わたしは限界の向こう側の力によって精一杯に人影を引いた。
すると、ぶちぶちと肉が引き千切れるような感覚を以て、人影が母親の心を離れた。
わたしは無我夢中で人影を引っ張った。
人影の身体が母親の背中に開いている穴に引っ掛かり、それを引き抜くことは大変だった。
しかしながら、わたしは力任せに人影を母親から引き抜いたのである。

呼吸が乱れ、流れる汗を気にすることもできない程疲労していた。
わたしの膝(ひざ)の上には死んだように沈黙する人影の姿があった。

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