わたしには人の心がどこに存在しているのか分からないが、そこから発せられているであろう破滅的な意識は認識することができた。
それを辿って行けば、きっと心に行き当たるであろう。
わたしはとにかく、目の前の破滅的な意識を取り除かなければならなかった。
とは言っても、どうすれば良いのか分からなかった。
わたしは思案して、大天使ミカエルに聞いてみることにした。
自らの内側に存在している静寂に意識を傾け、そこに存在しているであろう小さな声を探す。
意識的な存在の声は小さい。
人の心の声が人の耳には届かないようにである。
それは容易に聞き取れるものではなかった。
わたしは心を落ち着けて、静寂の中でただ待った。
すると、わたしの中に欲求が芽生えるのを感じた。
それはとても自然な欲求であり、何の違和感も躊躇(ちゅうちょ)も無かった。
わたしは母親の背中に対して右手を伸ばしていた。
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